地域企業と郷土山梨の元気創出―連携と協働の深化―
甲府商工会議所は明治12年10月13日、山梨商法会議所として設立され、今年で創立137年を迎えることができました。これもひとえに、会員、議員の皆様のご支援の賜物と改めましてお礼申し上げます。
さて、3年前の平成25年11月1日、上原勇七前会頭よりバトンタッチし、第21代会頭として就任いたしました。以降3年間、会員企業の発展と山梨県、甲府市の地域活性化に注力してまいりました。
就任当初、目標として掲げました甲府城天守閣等の再生については、関係団体等のご協力をいただき、10万人署名の目標をクリアする中で、県では引き続き天守閣存在の資料収集に奔走していただいております。さらに当所としては甲府城周辺について山梨県・甲府市に整備に関する提言をさせていただき、今後、官民一体となった取り組みを目指しております。
また、甲府銀座ビルの再生・開発につきましては、甲府市の多大なるご尽力もあり、分譲マンションとして再生、出発する見通しができました。しかし、もう一つの目標でありましたリニア中央新幹線の品川・甲府間の東京五輪までの早期開通の目標につきましては物理的・期間的状況から厳しい状況となっております。
また、この3年の間、多くの会員の皆様から中央自動車道の渋滞が県内経済に悪影響を及ぼしているとのご意見をいただく中で、山梨県との連携とともに八王子商工会議所や相模原商工会議所など中央道沿線の商工会議所にもご協力を仰ぎ、渋滞対策にも積極的に取り組むことができました。また、平成26年6月には全国の商工会議所や商工会が要望してまいりました「小規模企業振興基本法」が成立・施行されたのを契機に山梨県においても「中小企業・小規模企業振興条例」を制定していただき、現在甲府市においても同様の条例制定に向け鋭意努力していただいております。
このような中、去る11月1日開催の当所議員総会において、会頭に再度選任され、地域総合経済団体である甲府商工会議所のトップとして、また地域経済の振興発展の旗振り役としての責務の大きさに改めて身の引き締まる思いであります。
そこで、今後3年間の中での当所の取り組みの方向性について、会員の皆様にお伝えいたします。先ず現況として、わが国また山梨県は「人口減少時代」に突入しました。山梨県は2040年までには現在の83万人から67万人に減少するとの予測があります。人口減少は地域の暮らしや経済に大きな影響をもたらします。その課題に対する国の考え方は全国の各地方自治体が地方自らの主体的な取り組みによって「地方創生」を図ることとしております。まさに「魅力ある地域」でなければ生き残れない、「魅力ある企業」でなければ生き残れない時代であります。
そこで私は、地方創生を皆が連携・協働して行わなければ山梨の将来はないとの思いから今後3年間のスローガンとして「地域企業と郷土山梨の元気創出―連携と協働の深化―」とすることにいたしました。
甲府商工会議所は「魅力ある地域づくり」と「魅力ある企業づくり」に積極的に連携し、自らも行動してまいります。魅力ある地域づくりでは、山梨県や甲府市と連携を強化し、また、魅力ある企業づくりでは、会員企業の皆様の魅力や経営力強化に対して金融機関などと連携しながらご支援してまいりたいと考えております。
魅力ある地域づくりとしての具体的事業として、2019年の甲府開府500年、2021年の信玄生誕500年に向けた事業、リニア中央新幹線の建設促進、中部横断自動車道の建設促進、中央自動車道の渋滞対策、甲府城整備と周辺整備への提言・協力、マンガ・アニメを活かした街づくりなどを山梨県や甲府市など関係機関等との連携強化によって推進してまいりたいと考えております。
魅力ある企業づくりとしては、企業の経営力強化のための経営計画策定の支援、企業の人材育成支援、販路開拓支援、地場産業の活性化への支援、さらには新たに創業する方への支援などについて、行政、金融機関、中小企業診断士協会など関係機関と連携しながら進めてまいります。
また、県内11大学と連携し地域課題を解決できる優秀な学生をひとりでも多く県内に就職していただけるよう、県内大学との連携を図ってまいりたいと思います。
地方創生を行政や企業の皆様をはじめ「産学官金労言」一体となって推進していく大きな原動力として、地域総合経済団体である商工会議所の果たすべき役割は、今後益々重要性を増してくるものと考えます。組織・財政基盤を強化し発言力を強化し、各種事業に取り組むために、今後とも会員、議員の皆様のご支援、ご協力を切にお願いし会頭就任の挨拶といたします。
平成28年11月
甲府商工会議所 会頭 金丸康信