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File.4 吉字屋履物店(2021年07月掲載)
2024/11/26
下駄から靴へ。履物の専門店として
「当店は、明治16年に先々代が吉字屋本店(中央4丁目、石油製品等販売)さんの一角で荒物屋を開いたことが始めです。その後、売れ行きの良かった下駄の専門店として当時のメインストリートである魚町通り(現中央2~5丁目にまたがる南北の道)にお店を移し、さらに、今の場所に再移転しました。私で3代目です。その間日本人の履物は、下駄→草履→靴と変わっていきました。」そう語るのは、商店街で長年リーダーシップを発揮してきたまちゼミ講師最年長の髙野さんです。
「下駄、草履などの和履きは、足の親指と人差し指の間に鼻緒を挟む日本独自の構造をしています。歩く時に鼻緒をしっかり掴み、指で地面をしっかりと踏みしめることができるので、足の力が強くなります。しかし、一般的な靴は、靴の中で足の指同士が自由に動かせないですし、足が前滑りして外反母趾になりやすい構造なのです。履き心地の良い履物で歩くことは、健康長寿の第一歩なんですね。」
店内には、履物と健康に対する髙野さんの考え方をうかがわせる商品が並んでいます。オーダーメイドの草履や下駄、歩きやすく転びにくい靴、ヒールがあまりない冠婚葬祭用のレディース靴など。お店の入り口には、「吉字屋の草履や下駄はオーダーメイド お好みの台と鼻緒の組み合わせが自由 修理や調整もうけたまわります」の文字も。
「昔から台に鼻緒をすげるのは履物店の仕事です。草履は履くと痛くなるものと思い込んでいる方が多いですが、買ったときに調整したり、修理して使えば、本来歩きやすい履物なんですよ。今では、技術を持つ履物屋が少なくなっているせいか。成人式が近くなると、呉服屋さんから仕事の依頼もあるんですよ。」
まちゼミで靴の効用を広めたい
「まちゼミでは、【足を丈夫に健康長寿】というタイトルで身体のメカニズム、それに適した履き心地の良い靴についてお話しています。最初は、何か面白いことが出来るかなと思って参加をしたのですが、まちゼミの仲間からの励ましもあり第1回目から欠かさず開講しています。参加された方が、足を丈夫にすること、靴選びの大切さを知ってもらい、知り合いの方に口コミしていただくことで、たくさんの人に靴の効用が広まってくれればと願っています。」
店主直伝豆知識
素足で歩くと、血行がよくなり、体全体が温まります。夜など家にいる時は素足で過ごすことで、昼間に血流の悪くなった足を開放でき、適度な刺激が与えられますよ。冷え性の方には特におススメです。㈱吉字屋履物店
甲府市中央4-4-26 Τει. 055-233-0175
※本記事は甲府商工会議所だより2021年07月号に掲載しました。お問い合わせ