-
File.9 印傳博物館(2022年1月掲載)
2024/11/26
日本一の所蔵を誇る鹿革工芸品の数々
印傳博物館は、甲府の中心商店街の少し東にお店を構える、印傳屋本店の2階に開設されています。お店に入って2階に続く階段を上ると、まちゼミ講師の田所さんが笑顔で迎えてくれました。
「当博物館は、自社製品に限らず、全国から鹿革工芸品や道具、書物など約1,500点を収蔵しています。鹿革工芸品が数多く集まっている博物館は、全国的に見ても当館のみだと思います。」
館内は2つの部屋に分かれていて、入ってすぐの展示室では、山梨の伝統工芸品である甲州印傳の歴史、印傳屋さんの沿革がパネルで紹介されているほか、鹿革に漆で模様付けをする甲州印傳の匠の技の数々が映像で紹介されています。また、壁にずらりと並ぶ昭和50年代から続く創作ブランドのコレクションは、時代を感じさせないファッション性と脈々と受け継がれた細やかな職人技が光り、一見の価値あり。
「第2室では、「技法』『模様』「用途』をテーマに、年4回展示品を入れ替えています。現在は、江戸時代の浮世絵や挿絵をもとに描かれた印傳の漆絵を中心とした「印傳の模様一漆で描く一」を開催中です。」
田所さんの案内で奥の展示室に足を踏みいれると、年末の催事販促の品として作られているという漆絵の他にも、大柄な模様をあしらったスリッパや、星や月が描かれたメルヘン柄のポーチなど当時の流行を感じさせる貴重な品も飾られ、模様のバリエーションの多さに目を奪われます。博物館を見学した後は、1階のお店で印傳屋さんの商品をじっくりチェック出来るのも、ここならではの楽しみです。
まちゼミで印傳をより身近に
「印傳をより身近に感じていただいけるように、県内の方に来館いただける良い機会になるのではないかとまちゼミに参加しました。通常、当館は自由観覧となるのでガイドがつくことはないのですが、まちゼミでは私たち研究員ががイドを務め、印傳の魅力をご紹介します。参加いただいた方からは、「一度入館してみたいと思っていた』『印傳について知識を深められた」という声や、普段開けない疑問点について質問をいただいています。また、当館以外にも山梨中銀資料館、山梨近代人物館が参加されているので、繋がりが深まり、まちゼミならではの3館合同のフットパスツアーを企画するなど新しい試みが生まれています。」
店主直伝豆知識
印傳は、鹿革に漆で模様を付けています。粘り気のある液状の漆を乾かして固めているのですが、「乾かす」と聞くと湿度が低いことを想像しませんか?漆はその逆で、高い湿度で乾固するという特性があります。甲州印傳は、高温多湿の山梨だからこそ根付いた産業とも考えられます。印傳博物館
甲府市中央3-11-15印傳屋本店2階 TEL.055-220-1621
開館時間:10時~17時 休館日:印傳屋本店休業日,展示替え期間中
入館料:一般:200円、小・中学生:100円 ※障害者手帳持参者とその介助者1名は入館料免除
※本記事は甲府商工会議所だより2022年01月号に掲載しました。お問い合わせ