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花粉 - 今年もスギとヒノキの 二重苦でした・・(2022年05月掲載)
2022/06/01
春の4Kという言葉があります。春の特徴的な気象に関する現象で、それぞれのローマ字表記での頭文字がKで始まることからそう呼ばれています。花粉、黄砂、乾燥、気温差の4つです。
今回は、今年の振り返りも含めて花粉についてお話します。皆さんはいつごろから花粉症になりましたか?私は、花粉症などあまり知られていなかった40年程前でした。罹った最初の年は3日くらいで症状が無くなったこともあり、軽く風邪をひいたと思いました。ところが翌年のまったく同じ日に、まったく同じ症状が出てしまいました。風邪にしては熱が出るでもなく「変な風邪だなぁ」とは思ったものの、「この季節に風邪をひきやすくなったのかなぁ」なんて考えていました。そんな時、「花粉症」の話を聴く機会があり「それだ!」と合点がいったのです。以来40年、薬の眠気も少なくなり進歩を感じられますが、私自身は症状が出る期間もすっかり長くなり、ついでに秋も反応するようになって、悪い方へと進化してしまいました。なお、日本耳鼻咽喉科学会会報2002 年105 巻3 号によると、花粉症の有症率(アンケート調査の回答数に対して人口分布調整を行っている)は、全国の都道府県の中で山梨県が1位となっています。山林に囲まれているからでしょうか。全国1位の有症率
春の花粉はスギとヒノキが主役になります。甲府市にある山梨県衛生環境研究所で観測された2005年~2021年の平均と今年の様子は図1と図2になります。
図1 今年と過去の平均的なスギ花粉数
今年(橙)と2005年~2021年の平均(青)の甲府における杉の花粉数の変化。
データはスギ、ヒノキ共に山梨県衛生環境研究所のHPより取得。
図2 今年と過去の平均的なヒノキ花粉数
今年(橙)と2005年~2021年の平均(青)の甲府における檜の花粉数の変化。
スギもヒノキも日本の南に高気圧があり、南風が吹きやすく晴れた日に多くなる傾向があります。湿度との関係も強く、湿度が低いほど花粉量が多くなる傾向があります。「雨の日の次の日は花粉が多い」との話も聞きますが、データで見る限り花粉量は、前日に雨があり当日雨がない場合よりも、両日共に晴れている方が多くなっています。晴れて乾燥した日が続いた場合、より注意が必要と言えます。晴れて乾燥する日に注意
さらに、甲府盆地では、晴れた日には日差しによる気温の上昇で、午後になると南寄りの風が吹きやすくなります。晴れた日の午後の外出にも注意が必要です。
春は季節の変わり目として、様々な現象が起きています。春の4Kに雷や強風も含めて春の6Kなんていう場合もあります。最後に宣伝です。日本ネットワークサービスの自主放送11chで「お天気妖怪北野さん」を月1回放送しています。気象現象の諸々は、もしかしたら妖怪の仕業かもしれない、をコンセプトとしたユニークな気象バラエティー番組です。YouTubeのNNS公式チャンネルにもアップしています。「お天気妖怪」で検索してもアクセスできます。現在、3回分が公開されています。お天気妖怪 北野さん
四季折々の気象現象を、甲府盆地を中心に紹介していきます。「あの現象はそうだったんだ」と理解が進めば幸いです。コラム趣旨
北野芳仁
甲府地方気象台調査官を2021年3月に定年退職後、同年4月から日本ネットワーク気象情報室のシニア・アドバイザーに就任。甲府市出身。
日本ネットワークサービス(NNS)気象情報室
2018年1月発足。県内唯一の気象庁の予報業務許可事業者。多様なメディアで気象情報を発信しているほか、気象講演での講師派遣やお天気教室の開催、気象コラムの執筆や気象に関するコンサルタントも行っています。
※本記事は甲府商工会議所だより2022年05月号に掲載しました。お問い合わせ