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盆地の天気傾向 - 晴れの特異日は11月4日、雨の特異日は3月1日(2022年11月掲載)
2022/12/01
甲府盆地は日照時間の長さで日本でも1、2位を争う「晴れの国」です。そんな晴れの国でも日々の天気は、晴れたり、曇ったり、雨が降ったりと様々です。日々の天気は、風(空気)の流れを決める気圧配置、その空気の湿り具合や気温、上空の風の流れ、地形などいろいろな要素で決まります。
しかし1年を通して見ると、現れやすい気圧配置のパターンがあって、それが季節につながります。その大きな変化の中で日々の天気が現れます。日々の天気を決める要素は多くあって、「その日」の天気の統計的な予測は困難です。よく耳にする明日、明後日の天気予報は、統計的な処理ではなく、最新の観測データをもとに物理の法則に従ってコンピューターで処理して予測しています。
とはいえ、例えば30年という期間を決めて、「その日」の天気で何が最も多く現れたかという割合を求めると、いろいろと見えてくるものもあります。季節ごとの大きな変化、前後の日々に比べて晴れやすい日や降りやすい日、いわゆる特異日、そんなものが浮かび上がってきます。季節の影響はともかく、特異日は、何故そんな傾向がでるのか、理由ははっきり分かりません。左下のグラフは、ここ30年の甲府で「その日」が晴れた割合を365日並べたものです。6月から7月前半に大きな凹みがあり、9月から10月初めにもう一つの凹みが見られます。前者は梅雨、後者は秋雨の時期です。晴れの割合は10月下旬から高まり、11月から3月ごろまで70%を超えることも分かります。「晴れの国」甲府盆地は、まさにこれからが本格的な晴れの季節到来となります。右下のグラフは、雨や雪の割合ですが、晴れと反対に、梅雨や秋雨の時期に割合が高まっているのが分かります。11月からは晴れの季節到来
甲府の特異日も見えてきます。晴れで言えば、まず11月4日が目に付きます。10月2日、6月1日も有力な候補日です。雨はどうでしょう。3月1日がまず目に付きます。4月18日や6月9日、11月11日も前後に比べて降りやすい傾向が見られます。こうした日々の天気傾向を知ることで、外出や屋外イベントに向いた期間や日が分かります。必ず晴れる、必ず雨が降るというわけではありませんが、確率的に避けた方が安心となります。さて、ちょっと宣伝となります。今、販売中の2023山梨気象カレンダーに、新メニューとして甲府と河口湖の日々に最も出やすい天気マークを記入してあります。ぜひ手にして参考にしてください。また、近く出版予定の「山梨の気象~私たちの故郷の空もよう」(仮称)の中でも、天気出現率から見た山梨という項目を設けて紹介しています。こちらは、山梨の気象を本格的に紹介する初めての本となります。御一読いただければ幸いです。カレンダーと気象本にも掲載
四季折々の気象現象を、甲府盆地を中心に紹介していきます。「あの現象はそうだったんだ」と理解が進めば幸いです。コラム趣旨
北野芳仁
1981年4月山梨日日新聞社入社、2000年3月気象予報士取得、2018年1月から日本ネットワークサービス(NNS)気象情報室長、現在に至る。甲府市出身。
日本ネットワークサービス(NNS)気象情報室
2018年1月発足。県内唯一の気象庁の予報業務許可事業者。多様なメディアで気象情報を発信しているほか、気象講演での講師派遣やお天気教室の開催、気象コラムの執筆や気象に関するコンサルタントも行っています。
※本記事は甲府商工会議所だより2022年11月号に掲載しました。
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